Tier1の営業職はきつい?仕事内容と求められるスキルを解説

著者:Hayato K.|外資系Tier1営業/営業トレーニング設計


「Tier1の営業ってきついって聞くけど、実際どうなんだろう」

転職を考えている方から、よくこの質問を受けます。

正直に言います。

きつい部分は確かにあります。ただし、「何がきついのか」を理解した上で入るかどうかで、全然違います。

私はディーラー営業からキャリアをスタートし、OEM海外営業を経て、現在は外資系Tier1の営業職・営業トレーニング設計に携わっています。複数の営業現場を経験してきた立場から、Tier1営業のリアルをできる限り正直に書きます。


Tier1営業の仕事内容

まず、Tier1の営業が実際に何をしているのかを整理します。

「営業」という言葉から、飛び込み営業や新規開拓をイメージする人がいますが、Tier1営業は全く違います。

Tier1の主な顧客はOEM(完成車メーカー)です。トヨタ・ホンダ・日産といった大手メーカーが相手になるため、飛び込みや新規開拓という概念はほぼありません。

では何をしているかというと、主にこの3つです。

① 既存顧客との関係維持・案件管理

OEMとの長期的な取引関係を維持しながら、進行中のプロジェクトを管理します。仕様変更・価格交渉・納期調整など、日々発生する課題に対応し続けます。

② 社内調整

これがTier1営業の仕事の大半を占めます。

OEMからの要求を受けて、自社の開発・品質・調達・生産を動かす。それぞれの部署が異なる優先順位を持っているため、「全員が納得できる落としどころ」を見つけながら案件を前に進める作業が続きます。

③ 新規案件の獲得

既存顧客の新しいプロジェクトへの参入や、新車モデルへの部品供給を獲得する活動です。OEMの開発段階から入り込み、仕様を一緒に作っていくことが求められます。


Tier1営業の「きつい」部分

正直に書きます。

① 価格交渉のプレッシャーが常にある

OEMからのコスト削減要求は、Tier1営業にとって日常茶飯事です。

「毎年◯%のコストダウンをしてほしい」という要求が繰り返し来ます。断れない相手から続く交渉プレッシャーは、精神的にきつい部分があります。

② 社内外の板挟みになる

OEMからの無理な要求を受けながら、社内の開発・品質・調達を動かさなければならない。

「顧客はこう言っている。でも社内はこう言っている」という板挟み状態が続くのが、Tier1営業の日常です。調整がうまくいかないと、自分が全ての責任を負っているような感覚になることがあります。

③ 成果が見えにくい

ディーラー営業のように「今月◯台売った」という明確な数字が出にくいのがTier1営業です。

プロジェクトのサイクルが長く、一つの案件が受注に至るまで数年かかることもあります。短期的な成果を実感しにくい環境は、モチベーション維持が難しいと感じる人もいます。

④ 技術の理解が求められる

「営業だから技術はわからなくていい」は通用しません。

OEMの技術担当と対等に話せるレベルの理解が求められます。入社直後に技術的な知識のギャップを感じる人は多いです。


Tier1営業の「やりがい」部分

きつい部分だけではありません。

① 影響範囲が大きい

自分が担当する部品が、最終的に何十万台もの車に搭載されます。

「自分の仕事が社会インフラを動かしている」という感覚は、ディーラー営業やBtoC営業では味わえないスケール感です。

② 交渉・調整力が本物になる

価格交渉・社内調整・多方面のステークホルダーマネジメント——Tier1営業で身につくスキルは、どの業界でも通用する本物の力になります。

「Tier1営業を3年経験した」という事実は、転職市場でも評価されます。

③ 専門性が積み上がる

自動車業界の技術・ビジネス構造への深い理解が積み上がっていきます。

業界知識×営業力という希少な組み合わせを持つ人材は、市場価値が高いです。


Tier1営業で評価される人・苦労する人

営業トレーニングの設計にも携わってきた立場から、現場で評価される人と苦労する人の違いを整理します。

評価される人

「No」が来てから動ける人

OEMから仕様変更・コスト削減・納期前倒しを求められたとき、ただ「わかりました」と帰るのではなく、社内を動かして代替案を持ち込める人が評価されます。

構造で語れる人

「売上◯億達成しました」ではなく「このプロジェクトでこういう判断をして、こう動かしました」と語れる人。プロセスと意思決定を言語化できる人は、Tier1の現場で頭ひとつ抜けます。

社内の信頼を作れる人

外向きの成果だけでなく、社内からの信頼が厚い人が長期的に活躍します。開発・品質・調達から「あの人に頼めば動く」と思われているかどうかが、実は営業成績に直結します。

苦労する人

「指示を待つ」スタイルの人

Tier1営業は、誰かが動くのを待っていたら何も進みません。自分でアジェンダを設定して動ける人でないと、ストレスが溜まる一方です。

短期成果を求めすぎる人

プロジェクトサイクルが長いTier1では、すぐに結果が出ません。長期的な視点で動ける人でないと、焦りとフラストレーションが続きます。

板挟みをストレスと感じすぎる人

社内外の調整は永遠になくなりません。これをゲームとして楽しめるかどうかが、Tier1営業に向いているかどうかの分かれ目だと思っています。


ディーラー営業・OEM営業との違い

私は3つの営業現場を経験してきたので、簡単に比較します。

比較項目ディーラー営業OEM営業Tier1営業
主な顧客個人・法人Tier1・Tier2OEM
成果の見えやすさ高い(台数)中程度低い(長期)
社内調整の複雑さ低い中程度高い
技術理解の必要性低い中程度高い
価格交渉のプレッシャー中程度中程度高い
年収水準低〜中中〜高中〜高(外資は高い)

ディーラー営業は成果が見えやすく、短期のモチベーション管理がしやすいです。一方でTier1営業は複雑度が高い分、身につくスキルの深さが違います。


まとめ

Tier1営業のリアルを整理しました。

  • きつい部分:価格交渉のプレッシャー・板挟み・成果が見えにくい・技術理解が必要
  • やりがい:影響範囲の大きさ・本物の交渉力・専門性の積み上がり
  • 評価される人:「No」から動ける人・構造で語れる人・社内信頼を作れる人
  • 苦労する人:指示待ちスタイル・短期成果志向・板挟みが苦手な人

「きついかどうか」より「自分に合っているかどうか」で判断することをおすすめします。

Tier1営業は、向いている人にとっては市場価値が確実に上がる環境です。向いていない人には、年収が高くても長続きしない環境でもあります。

転職する前に、自分がどちらのタイプかを冷静に見極めてください。


Tier1営業への転職を考えているなら

まずエージェントに相談して、自分の経験がTier1営業でどう評価されるかを客観的に確認することをおすすめします。


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Auto Career Strategy|Hayato K.
外資系Tier1営業・営業トレーニング設計に従事。ディーラー営業・OEM海外営業・タイ駐在経験あり。企業名・年収データは公開情報をもとに作成しています。

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